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更新日:2023年3月24日
はままつの文化財
Vol.19 平成21年11月15日
東原遺跡は、古くからその存在が知られている大きな遺跡で、1960年代から地元の浜名高校史学部による発掘調査が継続して行われてきました。
その後、旧浜北市教育委員会や県埋蔵文化財調査研究所による調査が行われてきましたが、152号バイパスに伴う遠州鉄道高架化工事のために、一昨年の33次調査に引き続き、浜松市が発掘調査を行うことになりました。
今回は34次調査として、8月から12月までの予定で遠州鉄道芝本駅南側、踏切を挟んで約20mにわたって線路予定地を中心に調査を進めています。
最初に、踏切北側のA区(長さ120m幅7m)の調査を開始しました。
遺跡の含まれる地層は地表から比較的浅く、表土を30~40cm取り除くと、その下からは約1800年前の弥生時代後期の地層が現れます。
2か月にわたる調査で竪穴住居跡18棟が確認され、集落の南寄りに位置することが分かりました。
竪穴住居は、地面を掘りくぼめて土間にするつくりの住居です。
大きさは一辺が約4~5m、角を丸めた正方形や長方形の形をしており、一部の住居跡では四隅に柱穴(はしらを立てた穴)が確認されました。
A区で見つかった中で1番大きな10号住居跡(約6.5m×5.5m)では、柱穴のほかに東原遺跡ではほとんど見つかっていない周壁溝がはっきり残っており、炉跡の焼土(煮炊きをして赤く焼けた土)や食料を保存した貯蔵穴も確認されています。
また、焼失住居と思われる11号住居跡からは、代表的な3種類の弥生土器(壺・甕・高坏)が完形に近い状態で出土しました。
そのほかに、土器捨て場として再使用されたと思われる2号住居跡や6号土坑からは、大量の弥生土器片の集積が見つかっています。
現在は踏切南側B区(長さ200m幅6m)の調査が終盤にさしかかっています。
B区は南に進むにつれて地盤が下がり、踏切から南に60mほどの間に竪穴住居跡が5棟見つかっただけで、土器も22号住居跡で土器片の集積が見つかったほかはほとんど出土しないことから、このあたりが集落の南端にあたるようです。
今後はC区(側道部分)の調査を行い、年内にすべての現地調査を終了する予定です。
発掘のようす
10号住居跡
11号住居跡から出土した土器
9月19日(土曜日)午前10時と午後1時30分の2回、A区の発掘成果について現地説明会を実施しました。
当日は、シルバーウィーク初日で、参加者の出足を心配しましたが、地域にお住まいの親子連れや遺跡に関心をお持ちの人たちが大勢集まっていただき、最終的には156人の参加者がありました。
そして、調査現場での調査員の説明に熱心に耳を傾けたり、積極的に質問をしたりする姿が見られました。
現地説明会
調査場所が道路沿いで目立つこともあってか、通りかかった地域の方がよく見学されていきます。
夏休み中には近所の子どもたちや、浜名高校史学部の発掘体験などでにぎわいました。
2学期になって、中瀬小学校の4年生と6年生が
総合の地域学習や社会科の歴史学習で見学したり、曳馬中学校や気賀高校からは、職場体験として希望者が体験活動に訪れたりしています。
調査開始から10月末までに400人以上の方に見学していただいています。
曳馬中職場体験
中瀬小6年見学
去る11月1日、北区引佐町横尾の開明座で農村歌舞伎まつりが開催されました。
横尾歌舞伎少年団と少年少女三味線教室によるこども歌舞伎の上演が行われ、素朴さの中に伝統の技と美を織り込んだこども役者の熱演が見られました。
一幕目の「寿式三番叟 宝の入船」では、横尾歌舞伎保存会衣裳部手造りの彩りも鮮やかな衣裳を身に纏った少女2人が、三味線・鼓などの下座音楽にあわせて華麗な舞踊を披露しました。
二幕目の「仮名手本忠臣蔵七段目 祇園一力茶屋の場」では、大人でも難しい歌舞伎独特の台詞や細かな所作をこどもたちが見事に演じきりました。
この演目はそれぞれの場面ごとに見せ場があり、登場人物が絡むたびに様式的な美しさが際立つよう演出が工夫されています。
そんな難しい演目にもかかわらず、こどもたちは大人顔負けの見得や細密な人情の機微を表現していました。
また、プロの役者・義太夫・三味線奏者による歌舞伎ワークショップも開催され、歌舞伎の基本を分かりやすく解説しました。
所作と附けの関係など役者の動きに躍動感を与えカッコよく見せる舞台効果について、講師が実際に歌舞伎の特徴的な場面を演じることで説明しました。
観客からは、役者の一挙手一投足に感嘆の声が上がるとともに大きな拍手が送られるなど、舞台と客席とが一体となって肩肘張らずに「伝統文化」を体感していました。
寿式三番叟 宝の入船
仮名手本忠臣蔵七段目 祇園一力茶屋の場
歌舞伎ワークショップ
10月24日から始まった「城跡フェスティバル」は、たくさんのみなさんにご参加いただき、11月8日、大盛況のうちに幕を閉じました。
「のろしリレー」や「二俣一夜城」など、各イベントの詳しいようすは、号外「文化財情報」(11月下旬発行予定)でご報告します。
10月には、こんな調査活動などを行いました。
1(木曜日) |
南区増楽町 |
増楽遺跡試掘調査 |
---|---|---|
5(月曜日) |
東区桓武町 |
恒武遺跡群試掘調査 |
9(金曜日) |
北区都田町 |
恩塚山古墳現状確認調査 |
13(火曜日) |
西区神原町 |
神久呂小学校埋文事務所見学 |
21(水曜日) |
中区 |
姫街道の松並木保存管理庁内連絡会議 現地確認 |
24(土曜日) |
中区(クリエート浜松ほか) |
国文祭展示「徳川・武田争奪の城」・「絵図で見る浜松城」開始 |
25(日曜日) |
市内各地 |
のろしリレーと城跡見学会 |
26(月曜日) |
東区豊町 |
服織神社境内遺跡試掘調査 |
27(火曜日) |
西区馬郡町 |
馬郡観音堂下水工事立会 |
29(木曜日) |
北区細江町 |
中川森遺跡試掘調査 |
31(土曜日) |
天竜区二俣 |
二俣一夜城と戦国時代絵巻(二俣城跡) |
<重要無形民俗文化財「遠江のひよんどりとおくない」ほか>
遠江のひよんどりとおくないサミットinくんま
午後1時30分~/天竜区熊「熊愛館」
<重要無形民俗文化財「遠江のひよんどりとおくない」のうち『川名のひよんどり』>
川名ひよんどり八日堂竣工式
午後1時30分~/北区引佐町川名
文化財の見方講座(3回連続)
午前10時30分~正午/なゆた浜北第3会議室
※要申込み。詳細は広報はままつ11月5日号を参照。
<編集後記>
一大イベントである国文祭「城跡フェスティバル」が無事終了しました。
あちこちで行われたイベントのため、写真を集めるのも一苦労。
今集まった写真枚数を調べてみたら、1,000枚近くありました。
これは選ぶのも大変な作業になりそうです!
次号は号外として、この選びに選び抜いた写真の一部をご紹介し、イベントを振り返る予定です。お楽しみに!
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