緊急情報
ここから本文です。
更新日:2022年12月5日
「静物」 制作年不明 秋野不矩 作
浜松市秋野不矩美術館蔵
単純な構図でありながら、花の配置に気を配り、静けさの中にも動きのある構図となっており、生き生きとした感覚に満ち溢れた作品となっている。一見すると木版画のようなデザイン性と静寂感が漂っている。対象を真上から捉え、花の下の木盆は逆遠近法を使っていることから、新たな日本画の創造に向け、実験的な試みが画面全体から見てとれる。木盆や花弁のかすかな陰影や色の変化も逃さない厳しいまなざしと、対象を愛おしむまなざしが同時に感じられる。これは不矩作品全般にわたって見られる造形的な特徴でもある。
モチーフの花はアンスリウムであろうか。アンスリウムは、西インド諸島から熱帯アメリカにかけて自生する熱帯の植物で、約600種類の品種があるらしい。アンスリウムの花言葉は色によって異なるが、白は熱心、赤は情熱を意味する。まさに不矩そのものである。
お問い合わせ
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください