更新日:2024年3月29日
第5章 がんになっても安心して暮らせる地域社会の構築/1 相談支援、情報提供
(1) 基本的な考え方
- 医療技術や情報端末の進歩、患者の療養生活が多様化する中で、市内の4つの地域がん診療連携拠点病院のがん相談支援センターが中心となって、患者とその家族のみならず、医療従事者が抱く治療上の疑問や、精神的、心理社会的な悩みについて、対応していくことが、重要です。
- がんに関する情報があふれる中で、がん患者とその家族が、適切な情報の取得ができるよう、拠点病院のがん相談支援センターや国立がん研究センター、静岡がんセンター等と民間団体による相談機関等の連携が大切です。
- がん患者には、身体的、精神的な苦痛のみならず、社会的な苦痛があることから、就労支援のみならず、治療に伴う外見(アピアランス)の変化等といった社会的な課題への対策が求められています。
(2) 現状・課題
がん相談支援センターでの相談状況
- 令和4(2022)年度の市内の4つの地域がん診療連携拠点病院にあるがん相談支援センターの相談件数の合計は14,156件でした。平成30(2018)年度の相談件数の合計は14,932件でしたので横ばいとなっています。
- 平成30(2018)年度に厚生労働省が行った患者体験調査によれば、がん相談支援センターを知っている方はがん患者のうち66.4%、その内、がん相談支援センターを利用したのは14.4%、となっており、十分に利用されていないという結果が出ています。
表10 がん相談支援センター相談件数推移(単位:件)
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令和1(2019)年 |
令和2(2020)年
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令和3(2021)年
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令和4(2022)年
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相談件数
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12,791
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12,337
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14,229
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14,156
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(出典)静岡県疾病対策課調べ(令和3、4年度は健康医療課調べ)
「がんでご家族を亡くされた方のつどい」開催状況
- 浜松市精神保健福祉センターでは、がんで家族を亡くされた遺族の方の支援のため、「がんでご家族を亡くされた方のつどい」を開催しています。
- 「がんでご家族を亡くされた方のつどい」では、遺族同士が体験や気持ちなどを語り合い、わかちあう場を提供しています。
表11 「がんでご家族を亡くされた方のつどい」参加人数(年3〜4回開催)(単位:件)
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令和1(2019)年 |
令和2(2020)年
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令和3(2021)年
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令和4(2022)年
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参加人数
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30
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9
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10
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9
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(出典)浜松市精神保健福祉センター調べ
就労支援体制
- 市内の4つの地域がん診療連携拠点病院では、社会保険労務士による就労相談会を開催し、就労継続の支援をしています。平成29(2017)年度からは公共職業安定所(ハローワーク)との連携も始まり、再就職の相談にも対応しています。
- 平成30(2018)年度に厚生労働省が行った患者体験調査によれば、がんと診断を受けて退職・廃業した人は就労者の19.8%、その内、初回治療までに退職・廃業した人は56.8%となっています。このため、がん患者が診断時から治療と仕事の両立について相談できる体制づくりが求められます。
- がんの治療成績の向上に伴い、がん経験者は増加しており、がん患者・経験者のQOL向上に向けた取り組みが求められています。その中でも、がん治療に伴う外見(アピアランス)の変化もそのひとつと言われています。療養生活の質をよりよいものにし、就労や社会参加を支援していく体制が求められています。
表12 社会保険労務士による就労相談会の開催数、相談者数(令和1(2019)〜令和4(2022)年度累積値)
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聖隷三方原病院 |
聖隷浜松病院
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浜松医科大学医学部附属病院
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浜松医療センター
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就労相談会開催数
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17回
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8回
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14回
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18回
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相談者数 |
13回
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8回
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9回
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24回
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(出典)健康医療課調べ
(3)今後の取り組み
[1]相談支援、情報提供の推進
- 市は、がん患者とその家族が、拠点病院のがん相談支援センターでの支援が受けられるよう周知します。
- 市は、拠点病院のがん相談支援センターや国立がん研究センター、静岡がんセンターからの適切な情報を取得できる環境を整備します。
- 市は、浜松市精神保健福祉センターにおいて、がん患者の家族、遺族を支援するため、個別相談と「がんでご家族を亡くされた方のつどい」を実施します。
- 地域がん診療連携拠点病院及び市は、社会的人材リソース(※52を活用するなど、相談支援の充実に努めます。
[2]患者団体等との連携・協働
- 市内の4つの地域がん診療連携拠点病院は、がん患者やその家族の悩みを和らげるため、患者団体と連携を図りながら、患者サロン等のがん患者やその家族が自由に語りあえる場を設けます。
[3]就労支援
- 市は、市内の4つの地域がん診療連携拠点病院と連携し、市民へ治療と就労の両立支援の普及啓発活動を行います。
- 市は、がん患者とその家族に対して、がん診療連携拠点病院で開催される相談会などの就労支援に関する情報提供を進めます。
- 市は、がん患者の療養生活の質の向上及び就労や社会参加のできる体制にするため、医療従事者のアピアランスケアに関する知識習得の支援をします。
- 市内の4つの地域がん診療連携拠点病院は、引き続きハローワーク等と連携して、がん患者やがん体験者の再就労支援を進めます。
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