ここから本文です。
更新日:2024年3月29日
第5章 がんになっても安心して暮らせる地域社会の構築/4 在宅療養環境等の充実・支援
(1) 基本的な考え方
- 今後の高齢化の進展に伴い、可能な限り住み慣れた地域で生活を継続することができるよう、医療と介護が連携して、サービスを提供していく必要があります。
- 人生の最終段階における療養場所として、一定数のがん患者が自宅や地域で過ごすことを希望しています。
- 自らが希望する医療やケアについて、元気なうちから前もって考え周囲の人たちと話し合い、共有することが重要です。(ACP:アドバンス・ケア・プランニング(※53)
- 利用できる支援制度に限りがある小児・AYA世代のがん患者の在宅療養環境の整備が求められています。
- がん患者とその家族が、介護保険制度や小児慢性特定疾患助成制度などの行政サービス等を円滑に利用できるよう、がん患者とその家族に対して、分かりやすく伝えていくことが重要です。
- 日常的に尿漏れパッド等を使用する方が、安心して外出できる環境整備が求められています。
(2) 現状・課題
在宅療養生活支援
- 在宅療養を希望する患者とその家族が、病院等を退院する際、在宅医療や介護保険サービスを切れ目なく円滑に利用できるよう医療と介護の連携を進めています。
- AYA世代のがん患者は、利用できる支援制度に限りがあり、在宅療養を希望しても、患者やその家族等の身体的・精神心理的・経済的な負担が大きいことが指摘されています。
- 市では、令和2(2020)年度から、「小児・若年がん在宅療養生活支援事業費補助」を実施し、40歳未満の末期がん患者の居宅サービス等に要する費用の支援をしています。
表15 在宅療養生活支援事業費補助の申請件数(単位:件)
|
令和2(2020)年度
|
令和3(2021)年度
|
令和4(2022)年度
|
居宅サービス利用
|
0
|
4
|
2
|
福祉用具貸与 |
1
|
24
|
18
|
福祉用具購入 |
0 |
2 |
1 |
(出典)健康医療課調べ
末期がんの被保険者の介護認定申請件数
- 末期がんの患者は、病状が急速に悪化する場合が多いことを踏まえ、急速な病状の変化に対応し、適切な時期に介護保険制度などの行政サービス等が提供されるよう、迅速な対応が求められています。
- 市は、平成20(2008)年11月介護認定申請分から、緊急を要する末期がんの被保険者の新規・区分変更申請から認定審査までの期間短縮に取り組んでいます。
表16 緊急を要する末期がんの被保険者の介護認定申請件数(単位:件)
|
平成30(2018)年度 |
令和1(2019)年度 |
令和2(2020)年度
|
令和3(2021)年度
|
令和4(2022)年度
|
申請件数
|
883
|
889
|
1,031
|
1,019
|
1,073
|
(出典)介護保険課調べ
介護認定の申請日から介護認定審査会開催日までの平均所要日数
- 末期がんの被保険者の申請日から死亡日までの生存日数は、30日以下が4割弱、31日から60日までが3割弱となっていることから、早期に安心してサービスが受けられるよう、介護認定事務を迅速に進める必要があります。
- 緊急を要する末期がんの新規・区分変更申請者の申請日から介護認定審査会開催日までの平均所要日数は、16.7日(令和4(2022)年度実績)でした。
- 本市では、全国平均と比較しても、大幅に短期間で認定結果が出されています。《令和4年度 社会保障審議会介護保険部会(第98回)》
- 全国の第2号被保険者(末期がんと診断された新規介護保険申請者)の申請から介護認定審査会開催日までの平均所要日数は36.2日でした。
表17 申請日から審査会開催日までの平均所要日数(単位:日)
|
平成30(2018)年度 |
令和1(2019)年度 |
令和2(2020)年度
|
令和3(2021)年度
|
令和4(2022)年度
|
所要日数
|
15.9
|
16.2
|
15.1
|
14.4
|
16.7
|
(出典)介護保険課調べ
がんの在宅死亡割合
- がん死亡者の在宅死亡割合は、全国的に増加傾向がみられます。
表17 申請日から審査会開催日までの平均所要日数(単位:日)
|
平成30
(2018)年度
|
令和1
(2019)年度
|
令和2
(2020)年度
|
令和3
(2021)年度
|
令和4
(2022)年度
|
国
|
15.2
|
15.8
|
20.9
|
26.2
|
27.7
|
静岡県 |
17.2
|
18.8
|
23.4
|
28.8
|
30.8
|
浜松市 |
15.9
|
17.7
|
21.2
|
28.5
|
31.9
|
(介護医療院) |
0.3
|
0.9
|
2.2
|
2.9
|
2.1
|
(老人ホーム) |
3.6
|
4.2
|
3.1
|
6.5
|
11.1
|
(自宅) |
12.0
|
12.6
|
15.9
|
19.1
|
18.7
|
(出典)人口動態調査(厚生労働省)
人生会議の普及啓発
- 市では、人生会議手帳を発行し、自らが大切にしていることを振り返り、人生の最終段階で希望する医療やケアについて考え、大切な人と話し合うきっかけになるよう支援しています。
男性用サニタリーボックスの設置
- 市では令和4(2022)年に公共施設の男性用トイレにおけるサニタリーボックス(※54設置指針を策定し、男性用トイレの個室へのサニタリーボックスの設置を働きかけています。
(3)今後の取り組み
[1]在宅療養生活支援
- 市は、地域がん診療連携拠点病院等と連携し、がん患者とその家族へ補助制度の周知を進めます。
- 市は、地域がん診療連携拠点病院等と連携し、がん患者への支援制度等がん患者やその家族の療養生活の質の維持向上に役立つ情報提供を進めます。
[2]行政サービスの適切な運用
- 市は、今後も医師会等との連携や審査会の協力のもと、末期がん患者の介護認定審査までの期間を短縮し、在宅療養を希望する患者が適切な介護保険サービスを利用できる取り組みを推進します。
- 今後も、在宅療養を希望する患者が必要な行政サービス等を、速やかに利用できるよう、各制度の適切な運用を図っていきます。
[3]患者、家族の不安を解消する相談支援機関及び行政サービス等の情報提供
- 市は、がん患者の療養生活に役立つ市内の相談支援機関、行政サービス等に関する情報を分かりやすく周知することによって、がん患者の療養生活の質の向上を目指すとともに、がん患者とその家族を支援します。
[4]在宅でのりを支える在宅療養の充実に向けた取り組み
- 市は、医療と介護の連携を図り、がん患者とその家族に最適な在宅療養を提供するためのネットワークづくりを強化し、地域包括ケアシステムを推進します。
- 市は、地域の医療・介護資源の把握と情報発信をすることで、在宅療養を希望するがん患者とその家族の利便性の向上を図ります。
- 市は、がんに罹患しても自分自身の生活(療養)の場の選択ができるよう、市民に対し、在宅療養について普及啓発を図ります。
←戻る 次へ→
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください