更新日：2023年8月10日

浜松市中山間地域振興計画（2.中山間地域の課題）

中山間地域には、大きな課題があります。この課題は複雑に絡み合って負の連鎖を生み出し、地域の振興を妨げています。以下に挙げる言葉は、マイナスイメージが強いため、使うことを避けがちな言葉ですが、ここでは敢えてこれらの言葉を使用することで、課題を明確に表していきます。

なお、この章に使われている各種数値の詳細は、16ページ以降の「数字で見る中山間地域の課題」に掲載しています。

条件不利地域

本市の総面積の65.65％にあたる1,022.81平方キロメートルが中山間地域です。その中山間地域は、森林面積が約9割を占めており、人が住むことができる場所（可住地）は非常に限られています。

可住地面積［総面積-（林野面積＋池沼面積）をいいます］を見ると、中山間地域のうち、春野、佐久間、水窪、龍山の地域では10％を下回っています。

人口密度は、市全域の520人/平方キロメートルに対して中山間地域は35人/平方キロメートルとなっています。

過疎化

昭和22年から平成22年の5年ごと（昭和22年～25年は3年間）の人口推移を見ると、引佐地域を除いた全ての中山間地域で、昭和35年以降、人口が減り続けています。

5年ごとの人口増減率の平均を見ると、中山間地域全体は6.77%の減少であり、特に佐久間、水窪、龍山の地域では、10%を超える高い減少率となっています。また、昭和35年から平成22年までの人口の増減率を見ると、中山間地域全体では50.66%の減少であり、佐久間、水窪、龍山の地域では70%を超えています。特に、龍山地域では、この間、人口が約6分の1以下に減少しています。なお、昭和30年の佐久間地域と龍山地域の人口の増加は、佐久間ダム、秋葉ダム建設に伴う工事関係者の流入と、最盛期にあった鉱山労働者の流入によるものと考えられます。

「浜松市の将来推計人口」によると、今後は市全体で人口の減少が続いていくと推計されています。特に天竜区は、5年ごとの人口増減率で10％を超える高い減少率となっており、30年後には、人口が半分以下になると推計されています。

少子化

平成26年の少子化の状況を見ると、市全体では14歳以下の人口比率が13.84%で、市町村合併翌年の平成18年から0.56ポイント減少しました。中山間地域の14歳以下の人口比率は8.10％で、平成18年から1.99ポイント減少しました。特に、佐久間、水窪、龍山の地域では6％を下回っており、少子化が深刻な状況にあることが分かります。

高齢化

平成26年の高齢化の状況を見ると、市全体では、65歳以上の人口比率（高齢化率）が24.52%で、合併翌年度の平成18年から4.11ポイント増加しました。中山間地域の高齢化率は39.15%で、平成18年から4.87ポイント増加しました。特に、佐久間、水窪、龍山の地域では50%を上回っており、高齢化が深刻な状況にあります。

中山間地域全体では、高齢者のみの世帯が35.78%で、特に佐久間、水窪、龍山の地域では50％を上回っています。また、高齢者の一人暮らし世帯率も19.02%と市全体の11.71%を大きく上回っています。

中山間地域には337の集落があり、集落の平均世帯数は41.9戸となっています。高齢化率が50%を超えている集落は128あり、うち40の集落では高齢化率が70%を超えています。今後も、地域の集落は高齢化が一層進むことが予想されます。

一般的に集落とは、自然発生的に住家が集まり形成された耕地、林野、漁場、公共的施設などを含めた地域をいいます。浜松市の中山間地域の多くの地域では、集落ごとに自治会や自治会内の班・組などを形成し、地域活動を行っています。現在、最も大きな集落は300世帯程度ですが、10世帯以下の集落が全体の3分の1を占め、1、2世帯になってしまった集落も存在するなど、多くの集落で世帯数が減少しています。

まとめ

浜松市の中山間地域の課題をまとめると、概ね次のように整理されます。

平地が少なく集落が点在→商店、道路など生活環境の維持が難しい。

過疎化による人口減少→集落の維持そのものが困難になる。

少子化→将来にわたり地域を維持することに不安がある。

高齢化→地域の生活機能の維持が困難になる。

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現状の問題や将来への不安から、地域に住む誇りが失われつつあり、地域の賑わい、活力が低下している。