更新日：2024年3月29日

第1章　計画の策定にあたって

1　計画の策定について

（1）計画の趣旨

浜松市では、昭和61（1986）年に、子どもから高齢者、障がい者をはじめ、誰もが住み慣れたまちや家庭で自分らしく安心して暮らしていける支え合いのある地域づくりを目指して、市民運動の一つとして「地域福祉をはぐくむ運動」をスタートしました。

そして、さらなる地域福祉の推進を目指し、平成16（2004）年に「第1次浜松市地域福祉計画」を策定しました。その後、平成19（2007）年4月の政令指定都市への移行や、地域福祉を取り巻く状況の変化に対応するため、5年ごとに更新を行い、第4次計画に至るまで、地域福祉の担い手となる人材育成や地区社会福祉協議会の設立・活動支援等、地域福祉を推進するための基盤づくりに取り組んできました。

しかし、少子高齢化の一層の進展やニーズの複合化・多様化による地域課題の顕在化、制度の狭間で問題を抱える世帯、地域社会から孤立した世帯の増加等、地域福祉を取り巻く状況の変化はさらに進んでいる状況が見られます。これに加え、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による社会情勢の変化を背景に、人と人とのつながりが希薄化し、地域で支えあう機能の低下が進んでおり、地域福祉課題への対応の必要性がますます高まっています。

このような状況を踏まえ、制度・分野ごとの縦割りでは解決できない複合的な課題や制度の狭間等の課題に対応していくためには、「支え手」「受け手」という関係によることなく、誰もが生きがいと役割をもって地域を共に創っていく「地域共生社会」の実現を目指していくことが重要です。

国では、平成29（2017）年に社会福祉法を改正し、地域共生社会の実現に向けた地域福祉の推進を図るとともに、市町村は、住民に身近な圏域で、住民が主体的に地域課題を把握し解決を試みることができる環境の整備と、生活課題に関する相談を包括的に受け止める体制を整備する事等が努力義務化されました。そして、令和2（2020）年の社会福祉法改正では、重層的支援体制整備事業が創設されています。

本計画は、こうした近年の地域福祉や社会情勢を取り巻く状況の変化に対応するため、第4次計画での課題を検証するとともに取り組みの成果を活かしながら、今後5年間における浜松市の地域福祉の方向性を定め、地域福祉のより一層の充実を図ることを目的とします。

（2）計画の位置づけ

地域福祉計画は、年齢や障がいの有無等に関わりなく、誰もが住み慣れた地域で自立し安全・安心に暮らせる地域づくりに向け、住民、ボランティア、NPO、福祉サービス事業者等様々な福祉活動の担い手、行政等が連携し、協力して取り組む活動の指針となるものです。

1. 地域福祉を推進するうえでの基本的な方向性を示す計画

この計画は、社会福祉法（第107条）に基づく市町村地域福祉計画であり、浜松市総合計画を上位計画とし、本市が推進する地域福祉の方向性等を示します。

2. 福祉分野の個別計画との関係

この計画は、高齢、障がい、子ども・子育て等福祉の分野別計画と整合性を図り策定します。また、平成29（2017）年の社会福祉法改正の趣旨を踏まえ、本計画に地域における高齢者の福祉、障がい者の福祉、児童の福祉その他の福祉に関し、共通して取り組むべき事項を定め、上位計画として、地域の様々な福祉活動やその支援等について、充実を図っていくための施策を盛り込みます。

そして、地域のあらゆる課題を解決するために、福祉分野のみならずその他の生活に関連する計画との連携を図っていきます。

特に、重層的支援体制整備事業や成年後見制度利用促進については、地域福祉との関わりが深いため、本計画に内包する形で「重層的支援体制整備事業実施計画」、「成年後見制度利用促進基本計画」を策定し、一体的に取り組みます。

3. 地域福祉活動計画との関係

浜松市社会福祉協議会は、地域福祉推進の中心的な担い手であり、市民や民間団体の参画と協働を進める活動計画である「浜松市地域福祉活動計画」を策定しています。

このため、本計画は、浜松市社会福祉協議会の地域福祉活動計画と車の両輪の関係にあるものであり、相互に連携しながら地域福祉を推進する役割を担っています。

■計画の位置づけのイメー

4. SDGsとの関係

SDGs（Sustainable Development Goals）は、「誰一人取り残さない」という理念のもと、持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現に向けた令和12（2030）年までの国際目標です。

このSDGsの理念は、国の目指す地域共生社会の理念や本市の目指すまちづくりの理念とも重なることから、本計画ではSDGsの理念や目標等を踏まえながら、施策の柱ごとに関連する主な目標を示しています。

■SDGsの17のゴール>