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更新日:2024年2月28日
浜松市監査委員告示第2号
令和6年1月29日に収受した浜松市職員措置請求書による住民監査請求(以下「本件請求」という。)について、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「自治法」という。)第242条第1項に規定する住民監査請求の要件を満たしていないものと判断し、却下することにしたので次のとおり公表する。
令和6年2月28日
浜松市監査委員 川嶋 朗夫
浜松市監査委員 佐藤 雅秀
浜松市監査委員 松本 康夫
浜松市監査委員 太田 利実保
本件請求については、監査委員の合議により、却下するものと決定した。
(省略)
令和6年1月29日
自治法第242条第1項では、住民監査請求の対象の1つとして「違法若しくは不当な公金の支出」を掲げるとともに、「当該行為がなされることが相当の確実さをもって予測される場合を含む」こととしている。
また、「当該行為がなされることが相当の確実さをもって予測される場合」とは、「当該行為がなされるおそれが存する場合において、単にその可能性が漫然と存在するというだけでなく、その可能性、危険性等が相当の確実さをもって客観的に推測される程度に具体性を備えている場合を指す」と解されている(逐条地方自治法第9次改訂版(松本英昭著))。
本件委託契約の第6条第2項では、「委託者は、受託者が業務の実施により費用を生じているときであっても、その業務に係る対象物件の売買契約が成立し、かつ、その売買代金が市に完納されない限り、当該対象物件に係る業務委託料の支払いは行わないものとする。」とされており、本件委託料1及び本件委託料2の支出は、本件土地1及び本件土地2の売買契約の成立と売買代金の完納を要件としている。
本件委託料1及び本件委託料2は、本件土地1及び本件土地2の売買契約が成立しなかったため、現に支出されていない。
また、本件委託契約の仕様書2(4)①では、「委託者は、一般競争入札において不調となった指定物件のうち、委託者が指定する物件について、委託者が指定する期間、媒介(仲介)物件として受託者に対し、宅地建物取引業法に基づく媒介業務を委託するものとする。」及び「なお、委託者が指定する期間は最長で6か月とし、当該期間内に買受希望者を見つけられない場合は、再度一般競争入札の手続きをとることを原則とする。」とされているが、本件土地1の指定期間は令和5年7月18日、本件土地2の指定期間は令和5年4月19日で終了し、その後新たな期間の指定もされておらず、再度の一般競争入札の手続もとられていない。そのため、本件委託契約が令和7年3月31日まで継続しているとは言え、本件土地1及び本件土地2の具体的な売却手続が現に取られていない以上、本件委託料1及び本件委託料2の支出の可能性が相当の確実さをもって客観的に推測される程度に具体性を備えているとは認められない。
よって、本件委託料1及び本件委託料2の支出に係る請求は、現に支出されておらず、支出がなされることが相当の確実さをもって予測されるとも言えないことから、自治法第242条第1項の要件を満たさず、不適法である。
自治法第242条第1項では、住民監査請求の対象の1つとして「違法若しくは不当な財産の取得、管理若しくは処分」を掲げるとともに、「当該行為がなされることが相当の確実さをもって予測される場合を含む」こととしている。また、「違法若しくは不当に財産の管理を怠る事実」も対象の1つとしている。
「財産の管理」とは、当該財産の財産的価値に着目し、その価値の維持、保全を図る財務的処理を直接の目的とする財務会計上の財産管理行為をいうものと解されている(平成2年4月12日最高裁第一小法廷判決)。
しかし、請求人の主張する財産の管理は、本件土地1及び本件土地2の売却手続に関するものであって、本件土地1及び本件土地2の財産的価値の維持、保全を図る財務的処理を直接の目的とするものとは認められない。
よって、本件土地1及び本件土地2を売却するための管理及び当該管理を怠る事実に係る請求は、財産の管理及び財産の管理を怠る事実に係る請求には該当しないことから、自治法第242条第1項の要件を満たさず、不適法である。
なお、請求人の請求は「財産の処分」に係る請求とも捉えられるが、1で記載したとおり、本件土地1及び本件土地2の売買契約は現に成立していないほか、具体的な売却手続が現に取られていない以上、本件土地1及び本件土地2の売却の可能性が相当の確実さをもって客観的に推測される程度に具体性を備えているとは認められない。
よって、請求人の請求を本件土地1及び本件土地2の処分に係る請求と捉えた場合であっても、現に処分されておらず、処分がなされることが相当の確実さをもって予測されるとも言えないことから、自治法第242条第1項の要件を満たさず、不適法となる。
以上のとおり、本件請求は、自治法第242条第1項の要件を満たさず、不適法であると認めるため、却下する。
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