更新日:2022年5月25日
浜松市区再編(案)(2)
1 区割り案
区再編の必要性
なぜ?行政区再編が必要なのか
- (1)人口減少、少子高齢化のさらなる進行
- (2)激変する社会経済状況や市民ニーズへの対応
- (3)デジタル化の急速な進展
将来を見据え、持続可能な行政サービスの維持・強化策について検討
区再編 |
法律により設置が義務付けられている区役所の数を削減
市の裁量で設置できる行政センターにおいて区役所と同等のサービスを提供
臨機応変にサービス提供体制や職員配置を最適化できる仕組みを構築
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時代の変化に合わせた柔軟で効率的な組織運営と住民サービスの向上
区再編の必要性についてのポイント
市の現状・課題(人口減少、財政面、社会保障費、道路等インフラ維持費額等)に関する今後の見通しと対応状況は?また、これらが区再編の必要性とどのようにつながるのか?
(市の考え方)
(1)人口減少・少子高齢化の見通し・対応について
- 浜松市の人口構造は、平成27(2015)年の年少人口(0歳以上14歳以下)は10万7千人、総人口に対する年少人口構成比は13.6%であり、30年前の1985年と比較して5万4千人の減少、率にして8.6ポイントの低下、生産年齢人口(15歳以上64歳以下)は47万3千人、生産年齢人口構成比は60.0%であり、1万7千人の減少、率にして7.4ポイントの低下となっています。
- 一方、老年人口(65歳以上)は20万8千人、老年人口構成比は26.4%であり、13万3千人の増加、率にして16.0ポイントの上昇となっています。平成12(2000)年以降では、年少人口の減少に加え、生産年齢人口も減少傾向となる一方、老年人口の増加が続いています。この結果、老年従属人口指数(生産年齢人口に対する老年人口の割合)は、昭和60(1985)年の15.4から平成27(2015)年の44.0へと上昇が続いており、人口減少及び高齢化が進行しています。現在の出生率や移動率が続くと仮定すると、令和42(2060)年の人口は60万人を下回り、このまま人口減少が進むと、就業者の減少・地域経済の縮小や現役世代の負担増大などが懸念されます。
- 浜松市の人口減少は、出生率の低下や、若者層を中心とした人口の市外への流出、とりわけ東京圏への流出に起因する部分が大きく、出生率の上昇や転出抑制を図ることによって、人口の減少スピードを抑制するとともに、長期的には人口構成を最適化することが可能であると考えており、合計特殊出生率の上昇と東京圏との社会移動の均衡を図ることで、令和42(2060)年に68万1千人の人口を維持し、将来的に63万人程度で安定させる将来展望人口の実現に向けた戦略的な対策を講じています。
- 主な対策としては、ベンチャー支援等による雇用の創出や、子育て支援等による安心して子どもを産み育てることができる環境整備、移住の促進等に取り組んでいます。
- 浜松市“やらまいか”人口ビジョン(https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/kikaku/yaramaika/vision.html)
- 浜松市“やらまいか”総合戦略(https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/kikaku/yaramaika/sogosenryaku.html)
- こうした対策に掛かる費用に充てるため、様々な形で経費削減や行財政改革の取組を実践する必要があり、区の再編もその方策の一つとして提案するものです。
(2)インフラ改修・更新経費の見通し・対応について
- タテモノ資産(長寿命化後)に係る改修・更新経費は、今後50年間で9,004億円、1年当たり180億円と試算しており、令和40(2058)年頃に建替による財政需要が大きく増え、年間400億円以上が必要と試算しています。インフラ資産(リスクベースメンテナンス後)に係る改修・更新経費は、今後50年間で1兆3,512億円、1年当たり270億円と試算しています。(令和3(2021)年度浜松市の資産のすがた)
- 本市では、タテモノ資産(公共建築物)の見直しや維持管理コストの適正化、長寿命化など様々な取組を行ってきました。しかし、人口減少に起因する資産の遊休化、稼働率の低下、税収の減少の懸念と老朽化が進む資産の維持管理、改修・更新経費の増大、更には近年の本市における投資実績を踏まえると、これまでの取組はまだ充分とは言えず、すべての資産を従来どおりの形態で将来にわたって維持管理していくことは不可能な状況と考えられます。
- このため、市が保有するすべての資産を対象に、資産の見直しや活用、運営管理、処分などに関するプロセス全般を資産経営と位置づけ、平成27(2015)年度以降における資産経営を長期的かつ着実に推進するための羅針盤として、平成28(2016)年3月に「浜松市公共施設等総合管理計画」を策定(令和3(2021)年4月改訂)しました。
- 公共施設の運営を通じた安全・安心で質の高い市民サービスの提供と持続可能な行財政運営を両立するため、従来の考え方にとらわれることなく、各々の資産の必要性や目的を明確にしたうえで、民間活力の積極的な活用や、遊休資産の貸付、まちづくりとの連携など創意工夫により資産を最大限に活かす取組を推進しています。
- 浜松市の資産のすがた(https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/asset/asset/sugata/index.html)
- 浜松市公共施設等総合管理計画(https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/asset/asset/index.html#kanrikeikaku)
(3)社会保障費の見通し・対応について
- 本市では、団塊の世代が75歳以上となる令和7(2025)年及び団塊ジュニア世代が65歳以上となる令和22(2040)年を見据え、高齢者に関する保健福祉事業や介護保険制度の総合的な計画であるはままつ友愛の高齢者プランを策定し、各種事業を推進しています。
- 介護保険事業費は、高齢者人口の増加や制度の定着によって増加傾向にあり、令和元(2019)年度実績値649.9億円が令和22(2040)年度には991億円となると推計しています。
- こうした状況を見据え、高齢者が住み慣れた地域で、地域社会とのつながりを大切にしつつ、自立して日常生活を送ることができるよう、介護予防・重度化防止に係る事業を実施し、さらなる健康寿命の延伸を目指しています。
- はままつ友愛の高齢者プラン(2021-2023)(https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jpl/kourei/keikaku/plantop.html)
(4)財政の見通し・対応について
- 上記のインフラ改修・更新経費、社会保障費の見通しなどを考えると、今後も財政運営が厳しいことは確実であると認識しています。また、歳入についても人口の減少に伴う個人住民税など所得課税の減少、総人口の減少に伴う消費活動の総量低下により、消費税をはじめとした消費課税の減少が懸念されます。
- 本市の財政が比較的健全な状態にある今こそ、現状に甘んじて課題解決を先送りすることなく、将来を見据え、区の再編を行うべきだと考えています。
- 中期財政計画(https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/zaisek/middle/index.html)
区の再編は、人口減少・高齢化、社会保障費の増大、インフラの老朽化等の課題を直接解決するものではなく、このような環境変化に対応するため、行政組織の見直しを行うものです。
その効果として、短期的には組織の統合に伴う区長や各課長などの管理職の削減や、内部事務を集約することによるスケールメリットによる財政効果、中長期的には、人口減少や少子高齢化が急速に進み、社会が大きく変化することが予想される中、将来にわたって必要な行政サービスを維持・強化するため、条例で自由に設置できる組織を軸に、柔軟で効率的な市政運営が可能となる体制を構築できます。
再編により捻出された財源は、協働センターの機能強化を始め、人口減少・少子高齢化など急激な社会経済情勢の変化に対応した事業などへ活用します。
区再編に加え、今後も様々な行財政改革によって継続的に行政運営の効率化に取り組み、社会・経済状況の変化や新たな需要に対応してまいります。
7区を維持した組織の見直しについてのポイント
現在のサービス提供体制を維持するのに、なぜ再編が必要なのか?現在の7区のまま組織を見直すことで、再編と同様の効果は得られないのか?
(市の考え方)
- 地方自治法252条の20には、指定都市は、市長の権限に属する事務を分掌させるため、条例で、その区域を分けて区を設け、区の事務所又は必要があると認めるときは出張所を置くものとする。そして、区の事務所又は出張所の位置、名称及び所管区域並びに区の事務所が分掌する事務は、条例でこれを定めなければならないと規定されています。
- この規定により、区役所は条例において所管区域を定めて設置しなければならず、戸籍・住民基本台帳や選挙管理委員会に関する事務などは、法律で区を単位とすることが規定されています。このため、同一・均一的な事務であるにもかかわらず、所管区域ごとに固定的な業務が生まれ、それに携わる職員の配置が必要となります。
- こうした地方自治法の規定で固定化されてしまう区役所の数を減らし、区役所でなくなる区役所庁舎には市が所管区域にとらわれることなく、自らの裁量で数や規模を自由に決められる行政センター等の組織を軸にすることで、サービスの質を落とさず、提供体制や職員配置の最適化が可能となると考えています。
- 短期的には組織の統合に伴う区長や各課長などの管理職の削減や、内部事務を集約することによるスケールメリットによる財政効果、中長期的には、人口減少や少子高齢化が急速に進み、社会が大きく変化することが予想される中、将来にわたって必要な行政サービスを維持・強化するため、条例で自由に設置できる組織を軸に、柔軟で効率的な市政運営が可能となる体制を構築できます。
- 再編により捻出された財源は、協働センターの機能強化を始め、人口減少・少子高齢化など急激な社会経済情勢の変化に対応した事業などへ活用します。
住民投票の結果等についてのポイント
住民投票では、反対が多数だったと記憶しているが、なぜ再編ありきで議論が進められているのか?
(市の考え方)
- 平成31(2019)年4月7日に実施された浜松市区の再編に関する住民投票では、設問1で「3区案(天竜区・浜北区・その他の5区)での区の再編を令和3(2021)年1月1日までに行うこと」についての賛否を問い、設問1で「反対」の場合、設問2で「区の再編を令和3年1月1日までに行うこと」についての賛否を確認しました。
- 投票結果については、設問1で「賛成」と答えた人の割合が41%(13万2,249票)、「反対」と答えた人の割合が59%(19万351票)となり、令和3年1月1日までに3区案で再編を行うことについては、反対が多数となりました。設問2は、賛成16%(3万1,722票)、反対83.3%(15万8,629票)となり、設問1、2を通じて、令和3年1月1日までに区の再編を行うことについては、設問1で賛成した票(13万2,249票)と設問1に反対で設問2に賛成した票(3万1,722票)の合計が50.8%(16万3,971票)となり、賛成が反対をわずかに上回ったものの、賛否は拮抗しました。
- この結果を踏まえ、市議会特別委員会において、区再編の議論を再開し、令和2(2020)年9月28日の市議会全員協議会において、区再編の必要性について、全議員による投票を実施し、再編することが決定されました。
- また、内定案については、住民投票で合区による3区案への反対が多数であったことも踏まえ、合区や区の線引きにこだわらず、本市にとってよりよい再編案を検討した結果、選定されたものであり、区割り案のたたき台とした13案の中に住民投票で否決された天竜区、浜北区、その他5区の案は含まれていません。
区再編のメリット・デメリット
メリット
専門職の配置
- 現在の体制では、保健師などの特に高い専門性が求められる職員が区ごとに分かれて配置されているため、困難な事例への対処や、産休や育休の取得による欠員の対応にも区ごとで対応する必要があり、全市的な知識の蓄積や欠員への対応に課題を抱えています。
- 区の再編にあわせて、専門職の所属を区の組織ではなく本庁組織とすることで、今以上に専門職のチームとして対応することができるようになり、専門性の高いサービスを安定的に提供することが可能となります。
市民サービス提供体制
- 福祉分野の組織配置については、現在、各区に設置している福祉事務所などを本庁直轄の事業所とすることにより、現場の意見を直接本庁の政策形成に反映しやすくなるとともに、部長から各窓口までの指揮命令系統が一元化され、本庁の政策立案機能の強化やサービスの提供水準の均質化が図られます。
- 具体的なサービス提供体制については、(1)協働センターにおけるコミュニティ支援の充実、(2)現在の区役所庁舎など、身近な場所でのサービスを引き続き提供すること、(3)福祉分野での相談、申請などに係るアウトリーチ(職員が出向いて相談を受けたり申請手続きなどを行うこと)、(4)保健分野での子供から高齢者までを対象とする訪問サービスを提供することなどを検討しています。
- 再編による組織の統合に伴う区長や各課長などの管理職の削減や、内部事務を集約することによるスケールメリットにより捻出された財源は、協働センターの機能強化を始め、人口減少・少子高齢化など急激な社会経済情勢の変化に対応した事業などへ活用します。
※市民の皆様に直接対応する窓口・相談業務等に従事する職員は減らさず、サービス提供体制を維持します。なお、職員は区の再編時に一気に削減するのではなく、採用と退職のバランスを考慮しながら5年程度の期間をかけて減らしていきます。
デメリット
- 区の名称が変更となる地域の皆様には住所録などの変更、企業の皆様には区名入りの印刷物の差し替えや看板の書き換えなどが一時的に必要となりますが、自動車運転免許証などについては、住所変更の手続きが不要となるよう調整していきます。
※具体的な内容については、区の再編に係る条例の制定後、市民の皆様に必要な情報発信を行っていきます。
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