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更新日:2024年1月4日
全ての子供は、かけがえのない存在であり、社会の宝です。子供が健やかに成長していくことは、いつの時代も社会全体の願いであり、豊かな未来の実現に向けて最も大切なことです。
しかしながら、子供が生きる環境の中で、いじめの問題が大きく取り上げられ、また、現実にいじめが起こっていることについて、社会全体が悲痛な思いをしています。
いじめは、人権にかかわる問題であり、命の尊厳にかかわる問題です。どのような理由があろうと決して許される行為ではありません。また、子供の世界は社会を映す鏡とも言われます。いじめの問題は、安全・安心な社会をいかにしてつくるかという、学校を含めた社会全体の問題です。
子供をいじめから守るためには、浜松市民全員が、「いじめは絶対に許されない」「いじめは卑劣な行為である」「いじめはどの子供にも、どこでも起こりうる」といった意識を持ち、それぞれの役割と責任とを自覚しなければなりません。私たちは様々な人間関係上の諸問題に対し、誰もが真摯に向き合い、「いじめのない環境をつくり出す推進者」であることを自覚する必要があります。
平成25年9月、社会総がかりでいじめの問題に対峙するため、いじめ防止対策推進法(平成25年法律第71号。以下「法」という。)が施行されました。法第12条の規定に基づき、法の趣旨を踏まえ、国の「いじめの防止等のための基本的な方針」(平成25年10月11日文部科学大臣決定。以下「国の基本方針」という。)を参酌して、浜松市におけるいじめの防止等のための対策を総合的かつ効果的に推進するために、平成26年3月「浜松市いじめの防止等のための基本的な方針」(以下「市いじめ防止基本方針」という。)を策定し、変化する時代を背景に平成29年4月に改定しました。しかし、令和4年3月に「浜松市いじめ問題再調査委員会」より、「市いじめ防止基本方針」の内容について、「いじめの重大事態の組織を見直すこと」や「点検と見直しが確実に行えるような体制を整備するよう改定を行うこと」という提言が出されました。この提言を真摯に受け止め、今後、深刻ないじめ被害が起こらないように、又いじめの未然防止、いじめの早期発見・早期対応に取り組んでいくために、「市いじめ防止基本方針」の改定を行いました。
浜松市では「市民協働による未来創造への人づくり」を掲げ、未来を創っていく子供たちを、子供たちを取り巻く大人が力を合わせて育てていくことを教育理念としています。
保護者や地域住民等との連携の下、子供の尊厳を脅かすいじめが、いつでも、どこでも、いずれの子供にも起こり得るものであるとの共通の理解をもって真摯に向き合い、
を目指し、いじめの防止等の取組を推進していきます。
令和4年9月
浜松市
子供は人と人との関わりの中で、自己の特性や可能性を認識し、また、他者の長所等を発見します。互いを認め合い、誰もが安心して生活できる場であれば、子供は温かく優しい人間関係の中で伸び伸びと生活できます。
しかし、ひとたび子供の生活の場に、他者を排除するような雰囲気が生まれると、その場は安全な居場所ではなくなり、いじめを発生させる要因にもなりかねません。子供にとって、いじめは健やかな成長を阻むだけでなく、将来に向けた希望を失うなど、深刻な影響を与えるものと受け止める必要があります。
いじめとは、学校に在籍する「児童又は生徒(以下「児童等」という。)に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているもの」をいいます。「法第2条第1項」
いじめの表れとして、以下のようなものが考えられます。
個々の行為がいじめに当たるか否かの判断は、表面的・形式的なものではなく、被害者である「いじめを受けた子供の立場」に立つことが必要です。また、いじめに該当するかどうかを判断する際に、「心身の苦痛を感じているもの」だけでなく、本人の表情や様子の観察、本人が気付いていなくても、その子が「いじめられている状況にないか」という視点で、トラブルも含めて周辺の状況等を客観的に確認することも必要です。けんかやふざけ合いであっても、見えないところで被害が発生している場合もあるため、背景にある事情の調査を行い、子供の感じる被害性に着目し、いじめに該当するか否かを判断します。なお、いじめの認知は、特定の教職員のみによることなく、法第22条の学校のいじめ対策組織(以下「校内いじめ対策委員会」という。)を活用して行い、事案について「校内いじめ対策委員会」で情報共有をしていきます。
また、いじめの中には、犯罪行為として取り扱われるべきと認められ、早急に警察に相談することが必要なものや、子供の生命、身体又は財産に重大な被害が生じるような、直ちに警察に通報することが必要なものが含まれます。これらについては、教育的な配慮や被害者の意向に配慮した上で、早期に警察に相談・通報の上、警察と連携した対応を取ります。
いじめは、どの子供にも、どこでも起こりうるものです。とりわけ、嫌がらせやいじわる等の「暴力を伴わないいじめ」は、多くの子供が入れ替わりながら被害も加害も経験します。また、「暴力を伴わないいじめ」であっても、何度も繰り返されたり多くの者から集中的に行われたりすることで、「暴力を伴ういじめ」とともに、生命又は身体に重大な危険を生じさせます。
加えて、いじめの加害・被害という二者関係だけでなく、学級や部活動等の所属集団に秩序がなかったり、所属集団が閉鎖的だったりする問題があります。また、「観衆」としてはやし立てたり面白がったりする存在や、周辺で暗黙の了解を与えている「傍観者」の存在にも注意を払い、集団全体にいじめを許さない雰囲気が生まれるようにすることが必要です。
いじめについては、全ての子供を対象とした対応が求められます。いじめが起きているとき、いじめを受けている子供の心や体が傷ついています。周囲にいる人々の心が傷つくこともあります。いじめという行為は許されませんが、不安や悩みからいじめを行ってしまう子供や、いじめを行ったことで後悔や罪悪感を抱き、傷つく子供もいます。また、いじめを行った子供といじめを受けた子供が入れ替わってしまうこともあります。いじめが深刻になればなるほど、その解消は難しくなります。集団が荒れている雰囲気をもっているときには、いじめに気付かない場合も生まれます。
いじめの未然防止には、いじめが起こらない人間関係を構築していくことが求められます。市民が一丸となって、心の通い合う温かで優しい人間関係を築き、いじめをしない、いじめを許さない、いじめに立ち向かう子供を育てていきます。
また、いじめはできるだけ早期に発見し、適切に対応することが重要です。学校は地域や家庭と一体となって、子供の健やかな成長を見守り、いじめを認知した場合は、協力して一刻も早い解消に向けて取り組んでいきます。
全ての子供を、いじめに向かわせることなく、心の通う対人関係を構築できる社会性のある大人へと育み、いじめを生まない土壌をつくるために、また、いじめに立ち向かう勇気をもち、規範意識のある大人へと育むために、関係者が一体となった継続的な取組が必要です。
このため、学校は教育活動全体を通じ、次の点に取り組みます。
いじめの早期発見は、いじめへの迅速な対処の前提です。いじめの早期発見のためには、本人の訴え、教職員自身の気付き・発見、周囲の子供たちや地域からの情報の受け止めが重要です。
子供たちがSOSを発信できるようにすること、いじめのサイン(子供たちからのSOS)は、いじめを受けている子供からも、いじめを行っている子供からも出ていることを教職員が認識し、サインに気付けるようにすること、そのどちらも必要です。いじめはどの子供にも、どこでも起こりうるものであるとの観点から、学校、地域、家庭が一体となって子供を見守る体制を整え、子供のささいな変化に気付く力を高め、早期発見に努めます。
教職員は平素より、いじめを把握した場合の対処の在り方について、理解を深め、具体的な対応方針やいじめを受けた子供への支援・いじめを行った子供や周囲の子供への指導計画を立てたり、体制を整備したりします。そして、いじめを確認した場合には、次のように対応します。
社会総がかりで子供を見守り、健やかな成長を促すため、学校関係者と地域、家庭が連携した対策を推進します。
いじめの問題への対応において、学校や教育委員会は関係機関と適切に連携することが必要であり、そのためにも平素から情報共有体制を構築しておきます。
いじめの防止対策等について必要な措置を講じます。また、地域をはじめ学校におけるいじめの未然防止や早期発見、いじめが発生した際の早期対応、組織的な取組等が図られるよう必要な指導や支援を行います。
※詳細については、「第3 重大事態への対処」に記載
国の基本方針と学校いじめ防止基本方針の結節点となり、各学校のいじめの防止等の取組の基盤となる「市いじめ防止基本方針」を策定します。
「浜松市いじめ問題対策連絡協議会」を要綱で設置し、関係機関及び諸団体との連携を図ります。
専門知識を有する第三者が、いじめ重大事態につながるおそれのある事案を調査することにより、いじめを受けた子供やその保護者等の信頼を確保するとともに、事態を客観的に把握し、問題が複雑化、長期化することを防ぐために、「いじめ調査委員」を設置します。「いじめ調査委員」の活動内容は次の通りです。
法第14条第3項に基づき、専門的な知識及び経験を有する第三者等の参加を図り、公平性・中立性が確保される附属機関(「第三者委員会」)を設置します。「第三者委員会」の機能は次の通りです。
(ア)いじめの通報・相談を受け付ける体制整備・周知
(教育総合支援センター、家庭児童相談室、いじめ相談専用ダイヤル及びICTを活用した相談体制の整備)
(イ)スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカーの配置
(ア)市長は、法第28条に定める「重大事態」発生の報告を受け、当該報告に係る重大事態への対処又は当該重大事態と同種の事態の発生の防止のため必要があると認めるときは、附属機関を設けて調査を行う等の方法により、教育委員会又は学校による調査の結果について調査を行うことができ(法第30条第2項)、調査を行ったときは議会に報告する(法第30条第3項)。
(イ)市長及び教育委員会は調査の結果を踏まえ、自らの権限及び責任において、当該調査に係る重大事態への対処又は当該重大事態と同種の事態の発生の防止のために必要な措置を講ずる。
(ア)専門家チームの委員は、弁護士や精神科医、学識経験者、心理や福祉の専門家、警察官経験者等の専門的な知識及び経験を有する者を委嘱する。
(イ)専門家チームの職務は、学校等におけるいじめ問題等に対して、学校や教育委員会が迅速かつ適切に対応するため、専門的な指導及び助言等を行うこととし、活動内容は、学校等への訪問による研修会の実施、いじめ問題等に関する指導及び助言等とする。
(ア)教育委員会は、学校から法第23条第2項の規定による報告を受けたときは、必要に応じ当該校に必要な支援を行い、若しくは必要な措置を講ずることを指示する。
(イ)教育委員会として学校からの報告に係る事案について、法第24条に基づき、自ら必要な調査を行う。
(ウ)いじめを行った子供やその保護者に対しては、次のように学校が対応するよう指導助言を行う。
a.子供から事実関係の聴取を行う。
b.いじめがあったことが確認された場合には、複数の教職員が連携し、必要に応じて心理や福祉等の専門家、教員経験者や警察官経験者など外部の専門家の協力を得て、組織的にいじめをやめさせ、その再発を防止する措置をとる。
c.事実関係を聴取したら、迅速に保護者に連絡し、事実に対する保護者の理解や納得を得た上、学校と保護者が連携して以後の対応を適切に行えるよう保護者の協力を求めるとともに、保護者に対する継続的な助言を行う。
d.いじめを行った子供への指導に当たっては、いじめは人格を傷つけ、生命、身体又は財産を脅かす行為であることを理解させ、自らの行為の責任を自覚させる。
e.いじめを行った子供が抱える問題など、いじめの背景にも目を向け、その子供の安心・安全、健全な人格の発達に配慮する。
f.子供の個人情報の取扱い等、プライバシーには十分に留意して以後の対応を行っていく。
g.いじめの状況に応じて、心理的な孤立感・疎外感を与えないよう一定の教育的配慮の下、いじめを受けた子供等が使用する教室以外の場所において学習を行わせる等、いじめを受けた子供等その他の子供等が安心して教育を受けられるようにするため、特別の指導計画による指導を行う。
h.教育上必要があると認めるときは、学校教育法第11条の規定に基づき、適切に、いじめを行った子供に対して懲戒を加えることも考える。
(エ)学校教育法第35条第1項の規定に基づき、いじめを受けた子供やその他の子供が安心して教育を受けられるようにするために必要な措置(いじめを行った子供の出席停止を命ずる等)を速やかに講ずる。いじめを行った子供の出席停止の期間における学習支援や立ち直りの支援を行う。
(ア)教育委員会又は学校は、重大事態に対処し、及び同種の事態の発生の防止に資するため、速やかに教育委員会又は学校の下に組織を設け、適切な方法により当該重大事態に係る事実関係を明確にするための調査を実施する。
(イ)教育委員会又は学校は、重大事態に係る調査を行ったときは、いじめを受けた子供及びその保護者に対し、事実関係やその他の必要な情報について情報を適切に提供する。
(ウ)学校が調査を行う場合、教育委員会は、調査及び情報の提供について、必要な指導及び支援を実施する。
(ア)学校評価においては、日常の子供理解、いじめの未然防止や早期発見、いじめが発生した際の迅速かつ適切な情報共有や組織的な対応等が評価されることを教職員に周知徹底する。
(イ)子供や地域の状況を十分踏まえて目標を立て、目標に対する具体的な取組状況や達成状況を評価し、評価結果を踏まえてその改善に取り組むようにする。
教育委員会は、管理職が教職員面談をする際、生徒指導の観点から、いじめの問題を含めた人権尊重の考え方を大切にすることや子供の日常の様子について把握したり、他の教職員と連携しながら子供の成長を促す指導をしたりすることなどについて、指導・助言するように指導する。
(ア)いじめに適切に対応できる学校指導体制の整備を推進する。
(イ)「校内いじめ対策委員会」の役割が果たされているかを確認し、必要な指導・助言を行う。
(ウ)保護者や地域住民が学校運営に参画する学校運営協議会(コミュニティ・スクール)制度の導入により、いじめの問題など、学校が抱える課題を共有し地域ぐるみで対応する仕組みづくりを推進する。
(エ)学校がいじめに係る状況及び対策について、学校評議員会や学校運営協議会(コミュニティ・スクール)等に情報提供するとともに連携・協働による取組を進めるよう働き掛ける。
(ア)「市いじめ防止基本方針」及び「学校いじめ防止基本方針」の周知
(イ)いじめ防止等のための基本的な取組(いじめアンケートの実施、いじめが起きにくい・いじめを許さない環境づくり・いじめ相談体制の整備等)
(ウ)いじめに関する啓発活動や研修等の実施
学校は、いじめの防止等のため、「学校いじめ防止基本方針」に基づき、「校内いじめ対策委員会」を中核として、「校内いじめ対策委員会」の委員長である校長の強力なリーダーシップの下、一致協力体制を確立し、教育委員会とも適切に連携の上、学校の実情に応じた対策を推進します。
学校は、国、市のいじめ防止基本方針等を参考にして、学校の実情に応じ、「学校いじめ防止基本方針」を定めます。
(ア)「学校いじめ防止基本方針」に基づく対応が徹底されることにより、教職員がいじめを抱え込まず、かつ、学校のいじめへの対応が個々の教職員による対応ではなく、組織として一貫した対応となる。
(イ)いじめの発生時における学校の対応をあらかじめ示すことは、子供及びその保護者に対し、子供が学校生活を送る上での安心感を与えるとともに、いじめの加害行為の抑止につながる。
(ウ)いじめを行った子供への成長支援の観点を基本方針に位置付けることにより、いじめを行った子供への支援につながる。
(ア)いじめの未然防止のための取組
いじめに向かわない態度・能力の育成等のいじめが起きにくい・いじめを許さない環境づくりに資する多様な取組についての包括的な方針や具体的な指導内容
(イ)いじめの早期発見・いじめの事案への対処の在り方
(ウ)教育相談体制
(エ)生徒指導体制
(オ)校内研修
※イ~オに関しては、具体的に次のような内容を含む。
a.アンケートの分析と対応、いじめの通報、情報共有等「いじめ対応の手引き」を活用した適切な対処の在り方に関する研修
b.チェックリストの作成・共有と実施
c.事案対処に関する教職員の資質能力向上を図る取組(記録の取り方等を含む)
d.いじめを行った子供が抱える問題を解決するための具体的な対応方針
(ア)より実効性の高い取組を実施するために、「学校いじめ防止基本方針」が、学校の実情に即して適切に機能しているかを「校内いじめ対策委員会」を中心に点検し、必要事項を見直すというPDCAサイクルを盛り込む。
(イ)「学校いじめ防止基本方針」に基づく取組状況を評価する。「学校いじめ防止基本方針」における、いじめ防止等のための取組、具体的には、
a.いじめが起きにくい・いじめを許さない環境づくり
早期発見・事案対処のマニュアル「いじめ対応の手引き」の実行
b.定期的・必要に応じたアンケート、個人面談・保護者面談の実施
c.校内研修の実施
等について評価する。そして、評価結果を踏まえ、学校におけるいじめの防止等のための取組の改善を図る。
(ア)保護者、地域住民、学校運営協議会(コミュニティ・スクール)等に意見や支援を求める等、実効性のある方針になるように努める。
(イ)子供の意見も取り入れるなど、いじめの防止等について子供の主体的かつ積極的な参加が確保できるように努める。
(ア)「学校いじめ防止基本方針」は、ホームページ等で公表する。
(イ)入学時や各年度の開始時に、「学校いじめ防止基本方針」について、子供、保護者、学校運営協議会(コミュニティ・スクール)等に説明する。
学校は、いじめの防止等の対策のための組織「校内いじめ対策委員会」を設置します。その委員長は校長であり、組織や役割は以下の通りです。
(ア)いじめの未然防止
いじめが起きにくい・いじめを許さない環境づくりを行う役割
(イ)いじめの早期発見・事案対処
a.いじめの早期発見のため、いじめの相談・通報を受け付ける窓口としての役割
b.いじめの早期発見・事案対処のため、いじめの疑いに関する情報や子供の問題行動などに係る情報の収集と記録、共有を定期的に行う役割
c.いじめに係る情報(いじめが疑われる情報や子供同士の人間関係に関する悩みを含む)があった時には、緊急会議を開催するなど、情報の迅速な共有、及び関係する子供に対するアンケート調査、聴き取り調査等により事実関係の把握といじめであるか否かの判断を行う役割
d.いじめを受けた子供に対する支援、いじめを行った子供に対する指導の体制・対応方針の決定と保護者との連携といった対応を組織的にする役割
(ウ)学校いじめ防止基本方針に基づく各種取組
a.方針に基づく取組の実施や具体的な指導計画の作成・実行・検証・修正を行う役割
b.指導計画に基づき、いじめの防止等に係る校内研修を企画し、計画的に実施する役割
校長は、学校におけるいじめの防止等の対策を推進するリーダーとして「いじめ対策コーディネーター」を校務分掌に位置付けます。いじめ対策コーディネーターは、校長の指導・助言を受け、会議などの企画・運営を行うとともに、以下の役割を果たし、対応を行います。
(ア)日常的に教職員から情報を収集及び集約する。
(イ)子供の表れから情報を収集及び集約する。
(ウ)保護者や地域から情報を収集及び集約する。
(エ)定期的なアンケート調査の計画・実施・分析する。
(ア)保護者や地域に向けていじめ問題の対応について発信する。
(イ)教育委員会、児童相談所、警察、家庭裁判所、医療機関等関係機関と連携する窓口となる。
(ウ)スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等と連携する窓口となる。
(エ)必要に応じて、ケース会議を計画・実施する。
学級づくりを軸として、特別の教科道徳や特別活動を通して子供たちが円滑に他者とコミュニケーションを図る能力を育て、人権意識の向上を図るよう働き掛ける。
校内研修を企画し、教職員のいじめへの感度を高め、いじめの未然防止・早期発見・早期対応の共通理解を図る。
学校は、教育委員会と連携して、全教職員でいじめの未然防止や早期発見、いじめが発生した際の対処に当たります。
(ア)全ての子供を対象に、いじめに向かわせないための取組として、学級活動や児童会・生徒会活動等で、子供がいじめの問題について自主的に考え、議論すること等のいじめの防止に資する活動に取り組む。
(イ)子供が、心の通じ合うコミュニケーション能力を育み、規律正しい態度で授業や行事に主体的に参加・活躍できるような授業や集団づくりを行う。
(ウ)子供の豊かな情操と道徳心を培い、心の通う人間関係を構築する素地を養うため、教育活動全体を通じて道徳教育の充実を図る。
(エ)発達障害を含む、障害のある子供、海外から帰国した子供や外国籍の子供、国際結婚の保護者を持つ外国につながる子供、性同一性障害や性的指向・性自認・性表現に係る子供など、子供一人一人の特性や多様性に配慮した適切な指導や支援を行う。
(オ)子供が傍観者とならず、いじめをやめさせるための行動をとる重要性を理解するよう努める。
(カ)集団の一員としての自覚や自信を育むことにより、いたずらにストレスにとらわれることなく、互いを認め合える人間関係、学校風土をつくるとともに、子供の社会性を育て、自己有用感を育み、自己肯定感を高める活動に取り組む。
(キ)毎年6月12日を基準日として、「いのちについて考える日」を設定し、いじめの問題や命の尊さ、人間としての尊厳について考える取組を発達段階に応じて実施する。
(ク)教職員の言動が、子供を傷つけたり、他の子供によるいじめを助長したりすることのないよう、また、いじめを受けた子供の心に寄り添った言動をとるよう、指導の在り方に細心の注意を払う。教職員による「いじめられる側にも問題がある」という認識や発言は、いじめを行っている子供や、周りで見ていたり、はやし立てたりする子供を容認するものにほかならず、いじめを受けている子供を孤立させ、いじめを深刻化することを十分理解する。
(ケ)教職員の資質向上のために、事例検討等の研修を計画的に行ったり、人間関係づくりプログラムを取り入れた集団づくりの研修、人権意識を高める研修を進めたりしていく。また、情報モラル教育についての理解を深め、実践していく。
(コ)家庭や地域に対して、子供の様子に目を配り、いじめに関する情報を得た場合には、直ちに学校に相談するように啓発するとともに、家庭や地域等が相談しやすい信頼関係を構築する。また、浜松市の相談窓口についても、周知を徹底する。
(ア)いじめは、大人が気付きにくく判断しにくい形で行われることが多いことを教職員は認識し、些細な兆候であっても、いじめではないかとの疑いを持って、早い段階から的確に関わりを持ち、いじめを隠したり軽視したりすることなく、いじめを積極的に認知する。
(イ)教職員は、何よりも「子供のちょっとした変化」に気付き、子供が何でも相談したくなるような関係づくりに取り組む。日頃から子供の見守りや信頼関係の構築等に努め、子供が示す変化や危険信号を見逃さないようアンテナを高く保つ。日記やノートの記述等を通して、日頃から子供とのコミュニケーションを図るとともに、定期的なアンケート調査等を行うことで、子供がいじめを訴えやすい環境を整え、いじめの実態把握に取り組む。
(ウ)「学校いじめ防止基本方針」において、アンケート調査、個人面談の実施や、それらの結果の検証及び組織的な対処について定めておく。アンケートの記載内容については、すべて校長が確認する。
(エ)アンケート調査や個人面談において、子供が自らSOSを発信すること及びいじめの情報を教職員に報告することは、子供にとっては多大な勇気を要するものであることを教職員は理解し、子供からの相談に対しては、丁寧かつ迅速に対応する。
(オ)心理、福祉に関する専門家(スクールカウンセラー等)の活用等、子供、保護者、教職員に対する相談体制を整備する。
(カ)いじめの相談は、家庭や地域等と連携し、いじめを受けた子供やいじめについて報告した子供の立場を守る。
(ア)教職員がいじめを発見し、又は子供や保護者等からいじめの相談を受けた場合には、速やかに、「校内いじめ対策委員会」に対しいじめに係る情報を報告し、学校の組織的な対応につなげなければならない。
(イ)いじめの相談を受けたり、子供がいじめを受けていると思われたりするときは、直ちに教育相談や事実確認を行う。遊びや悪ふざけなど、いじめと疑われる行為を発見した場合、その場でその行為を止める。子供や保護者から「いじめではないか」との相談や訴えがあった場合には、真摯に傾聴する。ささいな兆候であっても、いじめの疑いがある行為には、早い段階から的確に関わりを持つ。
(ウ)教職員は,教育委員会の定めた方針等に沿って、いじめに係る情報を適切に記録しておく(児童生徒アンケートや「校内いじめ対策委員会」会議録等の生徒指導関係文書及び教育相談関係文書は5年保存)。記録はすべて公文書であるとの意識をもち、5W1Hや関係性を明らかにした上で事実を残す。
(エ)「校内いじめ対策委員会」において情報共有を行った後は、事実関係を確認の上、組織的に対応方針を決定し、いじめを受けた子供、いじめを知らせてきた子供を徹底して守り通す。
(オ)いじめが確認された場合は、いじめを受けた子供には、安心できる場を確保し、いじめを行った子供には、いじめをやめさせ、再発防止に努める。「校内いじめ対策委員会」が中心となって、いじめを受けた子供とその保護者に対する支援、いじめを行った子供とその保護者に対して指導や助言を行い、継続的に話し合って見届ける。いじめを行った子供に対しては、本人の人格の成長を旨として、教育的配慮の下、毅然とした態度で指導する。これらの対応について、教職員全員の共通理解、保護者の協力、関係機関・専門機関との連携の下で取り組む。具体的には、以下のことを実施する。【再掲】
a.子供から事実関係の聴取を行う。
b.いじめがあったことが確認された場合には、複数の教職員が連携し、必要に応じて心理や福祉等の専門家、教員経験者や警察官経験者など外部の専門家の協力を得て、組織的にいじめをやめさせ、その再発を防止する措置をとる。
c.事実関係を聴取したら、迅速に保護者に連絡し、事実に対する保護者の理解や納得を得た上、学校と保護者が連携して以後の対応を適切に行えるよう保護者の協力を求めるとともに、保護者に対する継続的な助言を行う。
d.いじめを行った子供への指導に当たっては、いじめは人格を傷つけ、生命、身体又は財産を脅かす行為であることを理解させ、自らの行為の責任を自覚させる。
e.いじめを行った子供が抱える問題など、いじめの背景にも目を向け、その子供の安心・安全、健全な人格の発達に配慮する。
f.子供の個人情報の取扱い等、プライバシーには十分に留意して以後の対応を行っていく。
g.いじめの状況に応じて、心理的な孤立感・疎外感を与えないよう一定の教育的配慮の下、いじめを受けた子供等が使用する教室以外の場所において学習を行わせる等、いじめを受けた子供等その他の子供等が安心して教育を受けられるようにするため、特別の指導計画による指導を行う。
h.教育上必要があると認めるときは、学校教育法第11条の規定に基づき、適切に、いじめを行った子供に対して懲戒を加えることも考える。
(カ)犯罪行為と認められるいじめがあったときは、警察と連携して対処していく。子供の生命、身体又は財産に重大な被害が生じるおそれがある場合は、直ちに警察に通報し、適切な援助を求める。
(キ)校長及び教職員は、子供がいじめを行った場合であって教育上必要があると認めるときは、子供に対して訓告や叱責等を加えることができる。
(ア)「校内いじめ対策委員会」は、必要に応じて心理や福祉の専門家等の参加について協力を求める。
(イ)日頃から所管警察署や相談機関等と情報収集や協力体制を確立し、いじめが起きたときには、状況に応じて連携し、早期対応に努める。
いじめは、単に謝罪をもって安易に解消とすることはできません。いじめが「解消している」状態とは、少なくとも次の2つの要件が満たされている必要があります。ただし、これらの要件が満たされている場合であっても、必要に応じ、他の事情も勘案して判断するものとします。
また、いじめが「解消している」状態とは、あくまで一つの段階に過ぎず、「解消している」状態に至った場合でも、いじめが再発する可能性が十分にあり得ることを踏まえ、学校の教職員は、いじめを受けた子供及びいじめを行った子供については、日常的に注意深く観察します。
被害者に対する心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)が止んでいる状態が相当の期間継続していること。この相当の期間とは、少なくとも3か月を目安とする。ただし、いじめの被害の重大性等からさらに長期の期間が必要であると判断される場合は、この目安にかかわらず、教育委員会又は「校内いじめ対策委員会」の判断により、より長期の期間を設定するものとする。学校の教職員は、相当の期間が経過するまでは、いじめを受けた子供・いじめを行った子供の様子を含め、状況を注視し、期間が経過した段階で判断を行う。行為が止んでいない場合は、改めて相当の期間を設定して状況を注視する。
いじめに係る行為が止んでいるかどうかを判断する時点において、いじめを受けた子供がいじめの行為により心身の苦痛を感じていないと認められること。いじめを受けた子供本人及びその保護者に対し、心身の苦痛を感じていないかどうかを面談等により確認する。
学校は、いじめが解消に至っていない段階では、いじめを受けた子供を徹底的に守り通し、その安全・安心を確保する責任を有する。「校内いじめ対策委員会」においては、いじめが解消に至るまで、いじめを受けた子供の支援を継続するため、支援内容、情報共有、教職員の役割分担を含む対処プランを策定し、確実に実行する。
地域は、学校や関係機関と適切な連携のもと、実情に応じた対策を推進します。特に、学校と関わりを持ちながら、いじめの未然防止の対応や早期発見に努めます。
子供が社会の一員として自立してくためには、家庭での教育が重要な意味を持ちます。
いじめ防止対策推進法第9条には、保護者の責務が示されています。
「保護者は、子の教育について第一義的責任を有するものであって、その保護する児童等がいじめを行うことのないよう、当該児童等に対し、規範意識を養うための指導その他の必要な指導を行うよう努めるものとする。」(法第9条第1項)
また、子供にとって家庭は、ありのままの自分を出すことができる安心できる場です。従って、家庭の役割としては、以下のようなことがあります。
(ア)子供に、いじめは人格を傷つけ、生命、身体又は財産を脅かす行為であることを理解させ、自らの行為の責任を自覚させる。
(イ)子供のいじめの背景にも目を向け、いじめの背景にあるストレス等の要因の改善を図るとともに、ストレスに適切に対処できる力を育むなど、いじめを行った子供の健全な人格の発達を考える。
(ウ)いじめの状況に応じて、いじめを行った子供が、学校等で心理的な孤立感・疎外感を受けていないか配慮する。
いじめの重大事態が発生した場合(いじめにより重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき。以下同じ。)は、教育委員会又は学校は、速やかに事案の事実確認を行い、本基本方針及び「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン(平成29年3月文部科学省)」により適切に対応します。
〇重大事態は、事実関係が確定した段階で重大事態としての対応を開始するのではなく、「疑い」が生じた段階で調査を開始しなければならない。
〇教育委員会及び学校は、重大事態として早期対応しなかったことにより生じる影響を理解し、重大事態への対応の重要性を改めて認識する。
いじめにより、子供の生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき
(ア)子供が自殺を企図した場合
(イ)身体に重大な障害を負った場合
(ウ)金品等に重大な被害を被った場合
(エ)精神性の疾患を発症した場合
いじめにより、子供が相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるとき
※「相当の期間」とは、年間30日を目安とする。ただし、子供が一定期間連続して欠席しているような場合には、教育委員会又は学校の判断により、迅速に調査に着手する必要がある。
※欠席が続き、当該校へは復帰ができないと判断し、転学した場合、重大事態の目安である30日には達していなくても、不登校重大事態としての対応を視野に入れる。
子供や保護者から、いじめにより重大な被害が生じたという申立てがあったときは、学校が「いじめの結果ではない」あるいは「重大事態とはいえない」と考えたとしても、重大事態が発生したものとして報告・調査等に当たる。子供又は保護者からの申立ては、学校が把握していない極めて重要な情報である可能性があることから、調査をしないまま、いじめの重大事態ではないと断言できないことに留意する。
重大事態が発生した場合、速やかに市長へ事態発生について報告する。
重大事態の調査は、重大事態に対処するとともに、同種の事態の発生の防止に資するために行うものである。
学校は、事案について、直ちに教育委員会に報告し、教育委員会は、その事案の調査を行う主体や、どのような調査組織とするかについて判断する。
調査主体は、学校が主体となって行う場合と、教育委員会が主体となって行う場合が考えられる。
(ア)学校に設置されている「校内いじめ対策委員会」に第三者を加える。
(イ)教育委員会が必要な指導や適切な支援を行う。その際、必要に応じて、専門家チームの助言や支援を求める。
(ア)従前の経緯や事案の特性、いじめを受けた子供又は保護者の訴えなどを踏まえ、学校が主体となって行う調査で重大事態への対処及び同種の事態の発生防止に必ずしも十分な結果が得られないと教育委員会が判断する場合や、学校の教育活動に支障が生じるおそれがある場合は、教育委員会が主体となって調査を行う。
(イ)教育委員会の諮問により「第三者委員会」が事実を客観的に明らかにしていく調査を行う。
教育委員会又は学校は、その事案が重大事態であると判断したときは、調査を行うため、速やかにその下に組織を設ける。
この組織の構成については、弁護士や精神科医、学識経験者、心理や福祉の専門家であるスクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカー等の専門的知識及び経験を有する者であって、当該いじめ事案と直接の人間関係又は特別の利害関係を有しない者(第三者)について、職能団体や大学、学会からの推薦等により参加を図ることにより、当該調査の公立性・中立性を確保するよう努める。
学校が調査主体となる場合、「校内いじめ対策委員会」を母体として、当該重大事態の性質に応じて適切な専門家を加えるなどの方法をとる。
なお、子供の命にかかわる重大事態が発生した場合には、精神保健福祉センターと連携し、心の緊急支援を同時に行っていく。
(ア)教育委員会及び学校は、いじめを受けた子供や保護者のいじめの事実関係を明らかにしたい、何があったのかを知りたいという切実な思いを理解し、対応に当たる。
(イ)教育委員会及び学校として、自らの対応にたとえ不都合なことがあったとしても、全てを明らかにして自らの対応を真摯に見つめ直し、いじめを受けた子供や保護者に対して調査の結果について適切に説明を行う。
(ウ)重大事態の調査は、民事・刑事上の責任追及やその他の訴訟等への対応を直接の目的とするものではなく、いじめの事実の全容解明、当該いじめの事案への対処及び同種の事案の再発防止が目的であることを認識する。教育委員会及び学校として、調査により膿を出し切り、いじめの防止等の体制を見直す姿勢をもつことが、今後の再発防止に向けた第一歩となることを認識する。
(エ)教育委員会及び学校は、詳細な調査を行わなければ、事案の全容は分からないということを第一に認識し、軽々に「いじめはなかった」「学校に責任はない」という判断をしない。状況を把握できていない中で断片的な情報を発信すると、それが一人歩きしてしまうことに注意する。また、いじめを受けた子供やその家族に問題があったと発言するなど、いじめを受けた子供・保護者の心情を害することは厳に慎む。
(オ)特に、自殺事案の場合、学校外のことで子供が悩みを抱えていたと考えられるとしても、自殺に至るまでに学校が気付き、救うことができた可能性がある。したがって、いじめが背景にあるか否かにかかわらず、教育委員会及び学校として、適切に事実関係を調査し、再発防止策を講ずる責任を有していることを認識する。
(カ)いじめを受けた子供や保護者が詳細な調査や事案の公表を望まない場合であっても、教育委員会や学校が可能な限り自らの対応を振り返り、検証することは必要となる。それが再発防止につながり、又は新たな事実が明らかになる可能性もある。このため、決して、いじめを受けた子供や保護者が望まないことを理由として、自らの対応を検証することを怠ってはならない。重大事態の調査は、いじめを受けた子供や保護者が希望する場合は、調査の実施自体や調査結果を外部に対して明らかにしないまま行うことも可能であり、教育委員会及び学校は、いじめを受けた子供や保護者の意向を的確に把握し、調査方法を工夫しながら調査を進める。決して、安易に、重大事態として取り扱わないことを選択するようなことがあってはならない。
(キ)以上のことを踏まえ、教育委員会又は学校は、いじめを受けた子供や保護者に対して自発的・主体的に、詳細な調査の実施を提案する。
(ア)「いじめはなかった」などと断定的に説明してはならない。
※詳細な調査を実施していない段階で、過去の定期的なアンケート調査を基に「いじめはなかった」「学校に責任はない」旨の発言をしてはならない。
(イ)事案発生後、詳細な調査を実施するまでもなく、教育委員会・学校の不適切な対応により、いじめを受けた子供や保護者を深く傷つける結果となったことが明らかである場合は、教育委員会・学校は、詳細な調査の結果を待たずして、速やかにいじめを受けた子供・保護者に当該対応の不備について説明し、謝罪等を行う。
(ウ)いじめを受けた子供・保護者の心情を害する言動は、厳に慎む。
※家庭も問題がある等の発言(子供をとりまく状況は、公正・中立な重大事態に係る調査の段階で確認されるものであり、学校が軽々に発言すべきものではない。)
(エ)独立行政法人日本スポーツ振興センターの災害共済給付の申請は、保護者に丁寧に説明を行った上で、手続きを進める。
(オ)いじめを受けた子供・保護者に寄り添いながら対応することを第一とし、信頼関係を構築する。
(カ)調査実施前に、いじめを受けた子供・保護者に対して、以下のa~fの事項について予め説明する。説明を行う主体は、教育委員会及び学校、又は「第三者委員会」「校内いじめ対策委員会」が行う。説明を行う主体は、状況に応じて適切に判断する。
(キ)調査を実施するに当たり、以下のa~fの事項について、いじめを行った子供及びその保護者に対しても説明を行う。その際、いじめを行った子供及びその保護者からも、調査に関する意見を適切に聴き取る。
a.調査の目的・目標
・重大事態の調査は、民事・刑事上の責任追及やその他の争訟等への対応を直接の目的とするものではなく、教育委員会及び学校が事実に向き合うことで、事案の全容解明、当該事態への対処や、同種の事態の発生防止を図るものであること。
b.調査主体(組織の構成、人選)
・調査組織の構成。
・調査組織の人選については、職能団体からの推薦を受けて選出したものであることなど、公平性・中立性が担保されていること。
c.調査時期・期間(スケジュール、定期報告)
・調査を開始する時期や調査結果が出るまでにどのくらいの期間が必要となるのかについて、目途を示すこと。
・調査の進捗状況について、定期的に及び適時のタイミングで経過報告を行うことについて、予め説明すること。
d.調査事項(いじめの事実関係、教育委員会及び学校の対応等)・調査対象(聴き取り等をする子供・教職員の範囲)
・どのような事項(いじめの事実関係、教育委員会及び学校の対応等)を、どのような対象(聴き取り等をする子供・教職員の範囲)に調査するのかということ。
・いじめを受けた子供・保護者が調査を求める事項等を詳しく聴き取ること。
・「第三者委員会」が調査事項や調査対象を主体的に決定する場合は、その方向性が明らかとなった段階で、適切に説明を行う。
・使用するアンケート調査の様式、聴き取りの方法、手順。
・いじめを受けた子供・保護者から調査方法について要望があった場合は、可能な限り調査の方法に反映する。
・提供する調査結果(調査の過程において把握した情報を含む。以下同じ。)の内容。
・個別の情報の提供については、浜松市の個人情報保護条例等に従って行う。
・情報提供の方法。アンケートで得られた情報の提供は、個人名や筆跡等の個人が識別できる情報を保護する等の上で行う方法を採ることやアンケート調査等の調査票の原本の扱いについて、一定の条件の下で調査票の原本を情報提供する方法を採ること。
・教育委員会等の文書管理規則に基づき行う調査票を含む調査に係る文書の保存期間。
・いじめを行った子供やその保護者に対する調査結果の説明の方法については、可能な限り、予めいじめを受けた子供・保護者の同意を得る。
「事実関係を明確にする」とは、重大事態に至る原因となったいじめ行為が、いつ頃から、誰から行われ、どのような態様であったか、いじめを生んだ背景事情や子供の人間関係にどのような問題があったか、学校・教職員がどのように対応したかなどの事実関係を、可能な限り網羅的に明確にすることである。この際、因果関係の特定を急ぐべきではなく、客観的な事実関係を速やかに調査する。
この調査は、民事・刑事上の責任追及やその他の訴訟等への対応を直接目的とするものではない。学校と教育委員会が事実に向き合うことで、当該事態への対処や同種の事態の発生防止を図るものである。
重大事態の調査を実りあるものにするために、教育委員会・学校自身が、たとえ不都合なことがあったとしても、事実にしっかりと向き合おうとする姿勢が重要である。教育委員会又は学校は、附属機関等に対して積極的に資料を提供するとともに、調査結果を重んじ、主体的に再発防止に取り組む。
a.いじめを受けた子供からの聴き取りが可能な場合、いじめを受けた子供から十分聴き取る。
b.在籍している子供や教職員に対する質問紙調査や聴き取り調査を行う。
c.いじめを受けた子供や情報を提供してくれた子供を守ることを最優先とする。
d.調査による事実関係の確認とともに、いじめを行った子供への指導を行い、いじめ行為を止める。
e.いじめを受けた子供に対しては、事情や心情を聴取し、いじめを受けた子供の状況に合わせた継続的ケアを行い、落ち着いた学校生活復帰の支援や学習支援等をする。
f.事案の重大性を踏まえて、教育委員会がより積極的に指導・支援したり、関係機関ともより適切に連携したりして対応に当たる。
a.子供の入院や死亡など、いじめを受けた子供からの聴き取りが不可能な場合は、子供の保護者の要望・意見を十分に聴取し、迅速に保護者に今後の調査について協議し、調査に着手する。
b.調査方法としては、在籍する子供や教職員に対する質問紙調査や聴き取り調査がある。
<自殺の背景調査における留意事項>
子供の自殺という事態が起こった場合の調査の在り方については、「子供の自殺が起きたときの背景調査の指針(改訂版)」(平成26年7月文部科学省・児童生徒の自殺予防に関する調査研究協力者会議)及び「国の基本方針」を参考とする。
(ア)調査対象者、保護者等に対する説明等
a.アンケートについては、教育委員会又は学校によるいじめの重大事態の調査のために行うものであること(調査の目的)、及び結果をいじめを受けた子供・保護者に提供する場合があることを、予め、調査対象者である他の子供及びその保護者に説明した上で実施する。
b.可能な限り速やかに実施する。教育委員会及び学校は、状況に応じて早い段階での聴き取りや、関係資料の散逸防止に努める。
c.アンケートは、状況に応じて、無記名式の様式により行うことも考える。
a.いじめを受けた子供、その保護者、他の在籍する子供、教職員等に対して、アンケート調査や聴き取り調査等により、いじめの事実関係を把握する。この際、いじめを受けた子供やいじめに係る情報を提供してくれた子供を守ることを最優先とし、調査を実施する。
b.調査においては、いじめを行った子供からも、調査対象となっているいじめの事実関係について意見を聴取し、公平性・中立性を確保する。
(ウ)記録の保存
a.浜松市文書管理規則等に基づき、適切に保存する。
b.重大事態の調査を行う主体(第三者委員会等)が実施した調査の記録のほか、いじめの重大事態として取り扱う以前に法第23条第2項の調査において教育委員会及び学校が取得、作成した記録を含む。5年間保存。
c.取得、作成した記録とは、学校が定期的に実施しているアンケート・個人面談の記録、いじめの通報・相談内容の記録、子供に対する聴き取り調査を行った際の記録等。教職員による手書きのメモであっても公文書に該当する場合がある。
d.記録の廃棄については、いじめを受けた子供・保護者に説明の上、行う。
(エ)調査実施中の経過報告
教育委員会及び学校は、調査中であることを理由に、いじめを受けた子供・保護者に対して説明を拒むようなことがあってはならず、調査の進捗等の経過報告を行う。
(オ)分析
学校いじめ防止基本方針に基づく対応は適切に行われていたか、学校いじめ対策組織の役割は果たされていたか、学校におけるいじめが起きにくい・いじめを許さない環境づくりに資する指導の工夫や早期発見・事案対処のマニ、どのような内容で、適切に運用され機能していたかなどについて、分析を行う。
(ア)文書情報の整理
(イ)アンケート調査
結果については、いじめを受けた子供又はその保護者に提供する場合があることを調査に先立ち、調査対象者に説明する。
(ウ)聴き取り調査
(エ)情報の整理
調査により得られた情報を時系列にまとめるなどして整理し、情報について分析・評価を行う。
(オ)再発防止策の検討
(カ)報告書のとりまとめ
「不登校重大事態に係る調査の指針」(平成28年3月文部科学省)に沿って行う。
(ア)教育委員会又は学校は、いじめを受けた子供やその保護者に対して、事実関係その他の必要な情報を提供する責任を有する。
(イ)調査により明らかになった事実関係(いじめ行為がいつ、誰から行われ、どのような態様であったか、学校がどのように対応したか)について、いじめを受けた子供やその保護者に対して説明する。
(ウ)情報の提供に当たっては、適時・適切な方法で、経過報告をする。
(エ)情報の提供に当たっては、教育委員会又は学校は、他の子供のプライバシー保護に配慮するなど、関係者の個人情報に十分配慮し、適切に提供する。ただし、いたずらに個人情報保護を盾に説明を怠るようなことがあってはならない。
(オ)質問紙調査の実施により得られたアンケートについては、いじめを受けた子供又はその保護者に提供する場合があることをあらかじめ念頭におき、調査に先立ち、その旨を調査対象となる在校生やその保護者に説明する等の措置を行う。
(カ)学校が調査を行う場合においては、教育委員会は、情報提供の内容・方法・時期などについて必要な指導及び支援を適切に行う。
(ア)調査結果については、学校は教育委員会に報告し、教育委員会は市長に報告する。
(イ)説明結果を踏まえて、いじめを受けた子供又はその保護者が希望する場合には、いじめを受けた子供又はその保護者の所見をまとめた文書の提供を受け、調査結果の報告に添えて市長に送付する。
法第23条第2項においても、いじめの事実の有無の確認を行うための措置を講ずるとされ、学校において、いじめの事実の有無の確認のための措置を講じた結果、重大事態であると判断した場合も想定されるが、それのみでは重大事態の全貌の事実関係が明確にされたとは限らず、未だその一部が解明されたにすぎない場合もあり得ることから法第28条第1項の「重大事態に係る事実関係を明確にする調査」として、法第23条第2項で行った調査資料の再分析や、必要に応じた新たな調査を行うこととする。ただし、法第23条第2項による措置にて事実関係の全貌が十分に明確にされたと判断できる場合は、この限りではない。
また、事案の重大性を踏まえ、教育委員会の積極的な支援が必要となる場合がある。例えば、義務教育段階の子供に関して、出席停止の措置の活用や、いじめを受けた子供又はその保護者が希望する場合には、就学校の指定の変更や区域外就学等の弾力的な対応を検討する。
重大事態が発生した場合に、関係のあった子供が深く傷つき、学校全体の子供や保護者や地域にも不安や動揺が広がったり、時には事実に基づかない風評が流れたりする場合もある。教育委員会及び学校は、子供や保護者への心のケアと落ち着いた学校生活を取り戻すための支援として、いじめに直接かかわった子供だけでなく、身近にいじめがあり、またいじめを止めることができなかったために心身の苦痛を感じてしまう子供や保護者並びに教職員に、カウンセリング等を行うことができる体制を整備するとともに、予断のない一貫した情報発信、個人のプライバシーへの配慮に留意する。
いじめの重大事態の報告を受けた市長は、当該報告に係る重大事態への対処又は当該重大事態と同種の事態の発生の防止のため必要があると認めるときは、法第28条第1項の規定による調査の結果についての調査(以下「再調査」という。)を行うことができます(浜松市いじめ問題再調査委員会条例(平成26年浜松市条例第41号))。
法第30条第2項及び第31条第2項で規定する「附属機関を設けて調査を行う等の方法」とは、当該再調査を行うに当たって、専門的な知識又は経験を有する第三者等による附属機関を設けて行うことを主な方法として念頭に置いたものである。
「浜松市いじめ問題再調査委員会」は、法第28条第1項の規定による調査の結果について、市長の諮問に応じ調査審議する地方自治法第138条の4第3項の規定に基づく附属機関であり、弁護士や精神科医、学識経験者、心理や福祉の専門家であるスクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカー等の専門的な知識及び経験を有する者で構成されている。委員の選任に当たっては、当該いじめ事案の関係者と直接の人間関係又は特別の利害関係を有する者ではない(第三者)について、職能団体や大学、学会からの推薦等により参加を図り、当該調査の公立性・中立性を図るように努める。
再調査についても、教育委員会又は学校等による調査同様、再調査の主体は、いじめを受けた子供及びその保護者に対して、情報を適切に提供する責任はあるものと認識し、適時・適切な方法で、調査の進捗状況等及び調査結果を説明する。
市長及び教育委員会は、再調査の結果を踏まえ、自らの権限及び責任において、当該調査に係る重大事態への対処又は当該重大事態と同種の事態の発生の防止のために必要な措置を講ずるものとする。
「必要な措置」としては、教育委員会においては、指導主事や教育センターの専門家の派遣による重点的な支援、生徒指導に専任的に取り組む教職員の配置など人的体制の強化、心理や福祉の専門家であるスクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカー、教員・警察官経験者など外部専門家の追加配置等を考える。市長部局においても、必要な教育予算の確保や児童福祉や青少年健全育成の観点からの措置を考える。
また、再調査を行ったとき、市長はその結果を議会に報告する。議会に報告する内容については、個々の事案の内容に応じ、適切に設定することとし、個人のプライバシーに対しては必要な配慮を確保する。
国は、当該基本方針の策定から3年の経過を目途として、法の施行状況等を勘案して、国の基本方針の見直しを検討し、必要があると認められるときは、その結果に基づいて必要な措置を講じることとしています。
したがって、本市においても、3年の経過を目途として又は国の基本方針の見直しを参酌しながら或いは社会状況の変化等を勘案しながら、「市いじめ防止基本方針」を見直し、必要があると認められるときは、その結果に基づいて必要な措置を講じます。
浜松市いじめの防止等のための基本的な方針(PDF:735KB)
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